2022.8.1~3 西鎌尾根で槍ヶ岳へ、南岳新道で下山

西鎌尾根で槍ヶ岳へ、南岳新道で下山

2022年8月1日~3日
単独:堀井栄治

以前の夏と違い、ここ数年4日以上好天が続くことはまれで、結局行きそびれてしまうことが続いているので、三日間は好天が望めるので、急遽出かけることにする。目的は西鎌尾根で、焼岳~親不知をつなげる縦走路の未踏部である。

8月1日 晴れ 風なし 新穂高温泉―鏡平―双六小屋【泊】
前日の夜行バスで新穂高まで、ほぼ満席であるが、上高地での下車が多い。左俣林道を1時間、笠新道入口で冷たい水を飲み、北アを実感。わさび平小屋を過ぎ、小池新道入口、ここから登りの登山道に入る。下りはあるが、登りは初めてである。日陰は少なく、日差しに照らされながらひたすら登る。ともかく暑い。しかし、ここの登山道は石の踏み面を平に整備してあり、その出来栄えは芸術的と言っても良いぐらい歩き易い。1時間半ほどで待望の秩父沢に到着。冷たい流水を頭からかぶり、喉を潤す。冷たくて1分も手を付けていられない。チボ岩を通り1時間半、シシウドが原で休憩、高山植物が増えてくる。急登を1時間ようやく鏡池に着、残念ながら湖面の逆槍は頂上部が霧で映らない。木道で鏡平山荘へ、とてもにぎやかで名物かき氷の人も多い。
急登を弓折中段まで、巻き気味に弓折乗越の稜線まで、1時間少しで到着、休憩。黒部五郎、双六が目前に広がり素晴らしい。花の多い稜線を3つほど小ピークを越しながら、双六池に下る。テント場は池のほとりで、ぴったりの風景である。霧も出てきて、暑さで疲れたので双六岳は明朝にする。双六小屋は水も豊富で、夕食、お弁当も丁寧で、経営者の小池氏の人柄だろうか。北アの小屋料金はここ数年急騰しており今年は13000円以上である。ヘリ料金の値上がりなどがあるようだが、穂高岳山荘がプライスリーダーで他の小屋が追随している感がある。双六小屋のようにサービスの向上を目指している小屋もあるが、とうてい、そうは思えない山小屋も多いのではないか。小屋泊は年配者か初級者が多く、若い人はテン泊の傾向である。

8月2日 西風 晴れのち霧 双六小屋―双六岳―樅沢岳―硫黄乗越―千丈沢乗越―槍ヶ岳―山荘
早朝5時、ご来光を見ながら、小屋を出発、30分程で開けた斜面にでる。ひと登りで山頂に続く平坦な大きな尾根に出る。双六岳山頂2860m、風はややあるが、360度の大展望である。御嶽山、黒部五郎岳、薬師岳、鷲羽岳、水晶岳、槍穂稜線、笠ヶ岳、いつまでも見ていたいところではあるが。双六小屋に戻り、西鎌尾根を槍に向け出発。

登り始めると撮影隊に出会う、山小屋関係の撮影のようである。ひと登りで樅沢岳山頂、前方はるか先に槍ヶ岳、これからの縦走が楽しみである。いったん下り、樅沢東峰を南から巻きながら硫黄乗越ヘ下る。ミネウスユキソウが多い。目前に赤茶けた硫黄尾根が望める。

硫黄の頭、左俣岳へと登っていく。槍が少しずつ近づき、北鎌尾根がギザギザと連なる。西の飛騨側は風があり、涼しいが、東の信州側は風なく暑い、この繰り返しである。ハクサンイチゲ、チシマギギョウ、シナノキンバイ、ミヤマキンポゲなどを見ながら進むと、鎖の続く痩せた稜線を行く。千丈沢乗越へと降ると槍が目前にそびえる。

ひたすらの急斜面を登って行くと、右かなり下に飛騨沢からの道が見えるが、大変そうな登りである。左に小槍をまじかに見ながら、最後の頑張りで槍岳山荘に到着。休憩後、槍ヶ岳の穂先に向かうが、小学生の大集団で大渋滞、のんびりしながら4度目の山頂3180mへ、霧で遠望はない。槍岳山荘は、あまり混んではいない。夜半、風の音が気になる。

8月3日 霧 強風  槍岳山荘―大喰岳―中岳―南岳―南岳小屋―南岳新道―槍平―新穂高
午後から天気が崩れる予報なので、4時半出発、朝焼けがきれいだが、すぐに霧に包まれる。西風が強く、下半身が寒いので雨具ズボンを着ける。大喰岳3101mの先、二重山陵になっている窪地はとても不思議な雰囲気である。信州側は風がなく、ほっとできる。鎖、梯子を通り中岳3084mへ、休憩なしで、南岳3033mを経て、南岳小屋に着。休憩しながら今後の予定を検討。明日はさらに天気が悪いので、奥穂高岳に向かう予定を変更、南岳新道を新穂高に下山することとする。携帯がつながるので新美さんにメールを送る。

小屋からはカール内をジグザクと降って行くのだが、快適なのは最初だけで、大岩が続く歩き難い斜面になる。ペンキは少なく、見えづらく、小旗を目印に行く。沢ぞいの道は廃道になり、左の尾根にトラバースしながら、雪田を通って移る。尾根沿いの下りは、左右からハイマツがかぶさり、やせた稜線に木道が続く、面白い歩きになる。

下るにつれて風は弱まり霧も薄くなって行く。数メートル先に突然、ライチョウが2羽現れる。新道名物の救急箱を過ぎ、急斜面をひたすら下って行く。延々と下っていくと南沢に出る。河原を下って、右手の尾根に入ると、槍平小屋にでる。期待通りの大変な道で楽しめた。この間5名とすれ違う、ここを登るのは大変そう。小雨がぱらつきはじめる。予定より1時間以上余分にかかってしまったので、新穂高からのバスに間に合うかどうか。ここからは平坦な道と誤解していたようで、実際は細かく上り下りしながらの道で思ったより長くきつい道である。滝谷出合からは雄滝が望める。チビ谷、ブドウ谷を横切り白出沢の堰堤を過ぎ、ようやく奥穂登山口の林道に出る。

雨の中、速足で新穂高に向かう、ロープウエイバス停に着くと、幸いすぐにバスが来る。平湯で下車、残念ながら、松本に出るバスはもうない。夜行バスを予約し、平湯の森温泉に向かい、入浴後ビールでゆっくり休む。9時閉館後、12時まで、バスターミナルの足湯でまったりする。バスは飛騨高山からの2名と私だけである。翌朝5時新宿着。この日やはり、山は悪天であったようだ。

北アの残りは、唐松岳から栂海新道である。(堀井)

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