2022.7.22~26 表銀座縦走・槍ヶ岳

北ア・表銀座縦走 槍ヶ岳3180m

2022年度の大登山を槍ヶ岳に定め約半年前から計画を立案、天城縦走、丹沢主脈縦走、木曽駒宝剣岳等にて訓練山行を重ね準備を進めました。
メンバーの大半が75歳前後という事もあり、安全登山をモットーにスケジュール的に充分余裕を持たせ、愛称「大人の山旅倶楽部」として実行しました。

【日 程】7月22日(金)夜バス出発~7月26日(火)
【参加者】三戸L(記録)、関山SL(写真)、福井、渡辺(綺)、堤  計5名

《7/23(土)第1日目》 快晴
【行程】6:15中房温泉―10:10合戦小屋―11:50燕山荘―13:00蛙岩―15:30切通岩―16:40ヒュッテ大天井(10時間30分 12.1㎞)
前夜23時、竹橋を出発した毎日アルペン号は早朝5時25分に登山口である中房温泉に到着、ここで前泊の堤さんと合流。最初にコロナ対策として登山口にて検温の後、関山SLを先頭に第一泊目のヒュッテ大天井を目指す。燕岳への合戦尾根ルートは北ア三大急登の一つとして有名だがスタート直後の元気さで樹林帯のジグザグ登山道を第一ベンチから合戦小屋へと快調に歩を進める。ただ楽しみにしていた合戦小屋での名物スイカがコロナの影響で販売中止だったのは残念である。

合戦小屋から少し上ったあたりで展望が開け右手に白く優しい燕岳が見えてくる。やがて登山口より標高差1250ⅿを登りきり燕山荘に到着、一休憩とする。この日も快晴で片道30分の燕岳頂上もよく見えたが、その日の行程時間から眺めるだけに留める。

燕岳よりいよいよ表銀座縦走コースへのルートとなるが、この辺りから今まで多かった登山客はめっきり少なくなる。

しばらくアップダウンの少ない穏やかな稜線を歩き、やがて蛙岩(ゲイロイワ)という奇岩を巻いていくが、この辺りから、昨夜のバス、合戦尾根の急登などの疲れがドッと出てくる。重い足取りで大下りノ頭を下り、砂礫地を進み「喜作レリーフ」を嵌め込んだ切通岩の手前辺りで既に15時になったので、とりあえずヒュッテ大天井に少し遅れる旨、電話を入れる(Softbankは通じずDocomoで対応)。

常念岳への分岐を左に見て進むと、ルート最大の難所で右側が切れ落ちる岩稜のトラバースの連続となり鎖、梯子で残る体力をスッカリ使い果たす。ようやくヒュッテ大天井の赤い屋根が見え、転がり落ちるように小屋に辿り着いたが昭文社地図では喜作レリーフからヒュッテ大天井まで45分とある。エー!本当??疲れて高齢の我々は約90分近くかかり16時半過ぎの到着となってしまった。小屋は比較的空いておりグループ個室が提供され、ビールと食事の後、初日の疲れから即、爆睡となった。

《7/24(日)第2日目》 快晴
【行程】5:15ヒュッテ大天井―7:25赤岩岳―8:25ヒュッテ西岳―10:20水俣乗越―13:10ヒュッテ大槍―14:50槍ヶ岳山荘15:15―15:50槍ヶ岳登頂16:10―16:55槍ヶ岳山荘(11時間40分 8.2㎞)

昨日の疲れもすっかり回復し爽やかな気持ちで朝を迎え、5時過ぎに出発。本日は三戸が先頭を務め、喜作新道から東鎌尾根をへて槍ヶ岳に向かう本山行の核心部ルートに挑戦する。北アルプス表銀座の醍醐味を十分味わおうとコースタイムに捉われず、ゆっくり写真等をとりながら行程を楽しむ積りだ。

ヒュッテ大天井を出て、稜線の左側をトラバース気味に穏やかな登山道を進むと、しばらくしてビックリ平に出る。右手に東鎌尾根から続く槍ヶ岳、左手に常念岳から蝶ケ岳の展望が拡がり、名前通り360度の北アルプス・大パノラマにビックリだ。

ここからいくつかの小ピークを越え赤岩岳の頂上を巻いていく。やせ尾根の鎖場を越えるとケルンの積まれた平坦地に出るが、ここからも手前西岳の先に前穂~北穂と雄大な穂高連峰が広がり、その展望が楽しめる。

西岳頂上に登る分岐を右手に見送り少し進んだところでヒュッテ西岳に到着、コーラを注文し一休みする。元気が出たところで、鉄梯子、鎖場と続く難所に取り組む。垂直に近い10ⅿを越える鉄梯子などあるが、慎重に足を運べば怖くない。やせた稜線を下りザレた鎖場を過ぎると東鎌尾根の最低鞍部水俣乗越に出る。ここは槍沢ルートからの登山道の合流地点でもあり、この鞍部と天空にそびえる槍ヶ岳とを結ぶ美しい稜線の景色は本日の圧巻である。ここから一気に槍ヶ岳頂上を目指す東鎌尾根の登りとなるが、途中「窓」と呼ばれる3連続の垂直鉄梯子は高感度満点で、ここ東鎌尾根の名所となっている。

あとは比較的なだらかな稜線が続き、いくつかの丸太梯子、鉄梯子を登りヒュッテ大槍に辿り着く。この日、展望楽しむため意図的に休憩を多く取ってきたが既に8時間以上経過しており、相当疲労感が出てきている。

槍ヶ岳山荘まで岩稜の登りをあと60分と言い聞かせ、疲れた体にムチ打ち歩を進め、槍の肩にある定員650名の大きな山小屋槍ヶ岳山荘に辿り着く。

当初、穂先頂上アタックは翌日朝の挑戦としていたが、当日は15時の今でも穂先に雲はなく、青空が広がっていることから急遽、登頂することとした。一休みの後ザックはデポし、空身にヘルメットを装着しての挑戦となった。

槍の穂先は標高差約100ⅿ、見上げるとかなりの急角度である。ヘルの緒を締めなおし緊張感をもって臨むが一方通行の鎖、鉄梯子ともによく整備されており実際はそう難しくない。

槍ヶ岳頂上直下の2連鉄梯子は斜度80度、15mあるがこれも楽しい。穂先頂上は思ったより広く、全員で登頂記念写真を撮った。

下りはより慎重に鎖、鉄梯子を降りる。登頂後、槍ヶ岳山荘前のベンチで飲む祝ビールの味が最高なのは言うまでもない。山荘の部屋はゆったりとした相部屋で、夕食の後20時就寝となった。

《7月25日(月)第3日目》 曇りのち晴れ
【行程】6:35槍ヶ岳山荘―7:30殺生ヒュッテ―8:00坊主岩小屋―10:30ババ平―11:15槍沢ロッジー13:00横尾山荘(6時間30分 9.2㎞)
濃い朝霧の中、6時半に絶妙のペースを誇る堤さんを先頭に下山開始する。穂先を見上げると雲に覆われ頂上は見えない。当初の予定を変更し、晴天の昨日に登頂しようと提言してくれた福井さんに感謝するとともに、話し合いで進めるチーム力の本領発揮に改めて大満足する。霧の中、最初こそ下山道を誤るも即修正し、殺生小屋、坊主岩小屋を経てババ平に着く。「山行事故の8割は下山時!」と皆で声を掛け合い、慎重にペースを保ったことからか殆ど疲労を感じることなく槍沢ロッジを経由して、横尾山荘に到着した。
ここで予め、お家の事情で当日中に帰宅せざるを得ない渡辺綺子さんを全員で見送る。16時頃、無事バスセンターに到着との綺子さんよりの連絡を受け、安堵して4日ぶりに山荘風呂にて汗を流し、着替えを行う。山荘は槍、穂高よりの下山客と上高地よりのハイキング客で思ったより多い人数だったが、ゆったりした相部屋で本山行最後の夜を過ごした。

《7月26日(火) 第4日目》 晴れ
【行程】7:20横尾山荘―8:20徳澤園―9:50明神―10:50河童橋―11:30バスセンター(昼食の後)―16:00上高地バスー20:30西新宿着(4時間20分 11.1㎞)
最終日の朝7時20分に山荘を出発、途中徳澤園にて名物ソフトクリームをほお張る。梓川の真夏の爽やかな流れを右手に眺めながら明神を経て上高地に向かう。ほぼ平坦な公園のような道だが、微妙にアップダウンがあり、とにかく長~い。ここを昨日綺子さんは一人で歩き、さぞ辛かっただろうなと思い浮かべる。河童橋にてお決まり写真を撮り、バスセンターに向かって4日間の本山行を終了する。 昼食は“頑張った自分へのご褒美”として、学生時代関山さんがアルバイトをしていた上高地帝国ホテルでプチ贅沢ランチをし、バス出発前の時間を五千尺ホテルにて有名チーズケーキセットでお茶を楽しむ。 4日間とも天候に恵まれ、ゆっくりしたスケジュールをはじめ、まさに「大人の山旅倶楽部」を十分満喫した楽しい山行でした。
<ご注意>往復割引ありで便利な毎日アルペン号だが、上高地バスセンターに乗車位置看板なく、予め集合場所を調べておく必要があります。

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