花ごよみNo12~No22(2013年)

花ごよみNo.22  谷川岳のエーデルワイス(ホソバヒナウスユキソウ)

ホソバヒナウスユキソウ写真
ホソバヒナウスユキソウ写真
ホソバヒナウスユキソウ写真
ホソバヒナウスユキソウ写真
細葉雛薄雪草(ホソバヒナウスユキソウ)ミヤマウスユキソウの変種。≪谷川岳の西黒尾根上部で撮影≫
山行、撮影時期は6月。土樽駅から茂倉新道を登り茂倉岳~一の倉岳~谷川岳~西黒尾根を下山、そして土合駅までの約15㎞程度のコースです。前日、土樽駅でステーションビバーク。この時期、国境稜線は百花繚乱。
主な高山植物はコイワカガミ・マイヅルソウ・タニウツギ・ハクサンチドリ・ゴゼンタチバナ・ウラジロヨウラク・シラネアオイ・キンポウゲ・ハクサンイチゲ・ミヤマオダマキ・ミヤマキンバイ・ハクサンコザクラと数えきれない種類の植物が咲いています。その中でも≪細葉雛薄雪草≫は特別です。昭和50年代から谷川岳に登っていて指導センターの写真では知っていましたが初めて見ました。感激でした。谷川岳の花の見頃は6月中旬からで例年梅雨の中で雨と霧で悩まされる厳しい山の中、花々に心が癒されます。(2013.12,横山:文)

花ごよみNo.21  マユミ(真弓)

マユミ写真
マユミ写真
マユミ写真
マユミの花はまだ見たことがない。初めてマユミの実を見たのは、10年ほど前の12月、積雪がある時に箱根の乙女峠から丸岳、長尾峠を歩いたときだった。雪が白くついた枝にかわいいピンクの花が付いていた。あとで調べてみるとそれは、マユミという木の実だった。
(木質が緻密でゆがみが少なく耐久性に優れるため、弓の材料として用いられたところに由来する。)
上の写真1は、今年の10月22日大分県の鶴見岳に行った時にのものです。大分県は暖かいのか、まだ葉は青々している。まるで枝垂桜の花のようにも見える。マユミの花は、まだ見ていないので花の咲くころに箱根の山に行きたいと思っている。(2013.11,飯嶋:文)
写真2:右の由布岳のすそ野をバックにした「マユミの実」 こちらは風が強いのか葉が落ちている。
写真3:鶴見岳から見た「由布岳」ガスの切れ間から
【マユミ】ニシキギ科

花ごよみNo.20  イヌショウマ(犬升麻)

イヌショウマ写真
サラシナショウマを知っている方は多いと思う。初秋の草原に白い花穂をつけて風に揺れている様は美しい。9月末、花の写真を撮ろうと高尾山に行った。高尾山は、花の宝庫だ。サラシナショウマに似ているが、明らかに違う花を見つけ、ビジターセンターに名前を聞きに行く。“これはイヌショウマです。高尾山には多く見られます。”と教えてくれた。イヌショウマは花が茎に直に付いているがサラシナは、数mmの花茎がある。近かくで見ると良く分かる。6号路にも多くあったが、草戸山への入り口すぐにも咲いていた。こんなきれいな花をどうして今まで気が付かなかったのだろうか?草丈は1mほどもあり、20cmぐらいある白い花穂が一杯付いている。先のほうの花芽は薄茜の丸い愛らしい蕾だ。
イヌショウマ写真
ところで植物には、イヌ(犬)が頭に付く名前のものが多くある。基本の植物に比べて、貧弱である、又は有用性が無いとの理由であるらしい。何とも不愉快!
一つは大自然の賜物に優劣を付ける非、もう一つは犬に対して失礼だ。私は戌年生まれの大の犬びいきなのだ。犬ショウマは若芽が食用にならないので犬らしい。(2013.10,堤:文)
イヌショウマ写真
【イヌショウマ】キンポウゲ科 サラシナショウマ属の多年草 林内の湿気の多い所を好む

花ごよみNo.19  ハヤチネウスユキソウ(早池峰薄雪草)

ハヤチネウスユキソウ写真
キク科の多年生の花。ウスユキソウは世界に約30種あり、日本には7~8種があるされている。
その中でもハヤチネウスユキソウは、ヨーローッパアルプスに咲くエーデルワイスに近く、大きく重厚な気品ある姿が登山者を魅了している。早池峰山の固有種で絶滅危惧種。早池峰山では他にミネウスユキソウとウスユキソウもみられる。
花の高さは、10~20cm。花弁のような純白の綿毛に覆われた包葉が星状に広がり、中心に淡黄色のおしべ、その縁に4~8個のめしべが集まっている。花の時期は、7月から8月の上旬。標高1400mあたりの乾燥した草地や岩礫の間に咲いている。 高山植物にある厳しい自然の中で毎年咲き続ける凛とした強さとこの花のもつ気品さが魅力の花である。ちなみに、エーデルワイスとは「気高い」との意味がある。
ハヤチネウスユキソウ写真
私が、最後に早池峰山に上ったのは、写真の日付からみて10年前だが、その時、盛岡からきたといっていたボランティアの登山者が、盗掘が多く以前は、6~8合目はもっと群生していたと話していた。
この花を取り上げるにあたり、無形文化財の早池峰神楽を観たいこともあって山行を計画したが、早池峰大祭に休みがとれない、東北の梅雨がいつまでも明けないなどで見送りになってしまった。 もう一度是非会いたい花である。(2013.9,蔦:文)

花ごよみNo.18  ヒガンバナ(彼岸花)

ヒガンバナ写真
彼岸花と言と巾着田を思い出す。「さんかくてん」の殆どの人がその地を知っていると思う。花の数200万本だとか。2009年9月20日の「巾着田・彼岸花ハイキング」に参加した金子さんはその見事さに駅に張ってあるポスターよりきれいと会報に書いている。(写真は会報に乗っていたものをお借りしました。)
ヒガンバナ写真
昨年陣馬山から影信山まで歩いていたら山道に点々と赤い彼岸花が咲いていた。前を歩いていた山ガールが同行者の山ボーイに「なんていう花?」と聞いている。「これ彼岸花よ、今日お彼岸でしょう、この時期に咲くのよ。」とすかさず横から口をいれてしまった。咲いている時期は長いのか昨年は10月上旬に会津田代山山行の際、会津田島までの沿線に咲き長い乗車時間を飽きさせなかった。
ウィキベディアによると北海道から琉球諸島まで咲いているとある。私の生まれた雪深い新潟県栃尾にもお墓や田んぼのあぜ道に沢山咲いていた。この花を見ると子供のころを思いだしてしまう。
ところで花の名所に花を見るのは午後に行くことを勧める。その理由はツアー客が午前で居なくなるからである。巾着田は物見山→高根山→日和田山と歩いた後で丁度良い。先日の日光高山にクリンソウを見に行った時ツアー客の多いのに驚いた。
ヒガンバナ写真
彼岸花、クリンソウ等群落する花は沢山の人達を呼び寄せ感動を与えてくれる。(2013.8,深沢:文)
【彼岸花】
別名 曼珠沙華 天上の花 おめでたい事が起こる兆し 根に毒がある。

花ごよみNo.17  ミズバショウ(水芭蕉)

ミズバショウ写真
19才の春、尾瀬に水芭蕉を見に行こうと誘われ楽しみにしていました。ところが失恋の為おながれになり見ることができなかった。その後チャンスがなく3年前さんかくてんに入会し翌年尾瀬に行くことができました。あいにく花の時期が終わっていて残骸のみ。またしても残念!
今月初め白馬五竜・栂池自然園・八方池のパック旅行に参加。よい天気ではなかったが所々で雲がとれ五竜では残雪のそばに水芭蕉。栂池ではかれんな水芭蕉を見ることができた
ミズバショウ写真
さんかくてんの皆様にはおなじみの花でしょうが、私にとっては半世紀をかけての出会いでした。
花ごよみを依頼され10年前のデジカメを持って出かけるがどれもピンボケ。携帯のほうが性能がよいことがわかり技術の進歩に驚く。かんたんに歩きながらの撮影に対応できるカメラを購入して少しづつでも花の知識を深めたいな~と思っています。(2013.7,渋谷:文)
ミズバショウ写真

花ごよみNo.16  ジャケツイバラ(蛇結茨)

ジャケツイバラ写真
もう十年以上前でしょうか、中央線梁川駅近くを歩いていると、大きな木の下に
黄色い花がたくさん散っていました。「何の花?」と見上げていると、地元の方が「ジャケツイバラと言い、蔓が刺で木に絡みつき花を咲かせる。」と教えてくれました。その時は、とても高い所に咲いていたので花の姿はよく見えませんでした。
名前がユニークだし、ぜひ花を間近で見たいと、5~6月ころ山へ行くたびに探しましたが出会えませんでした。
その後、高尾の小仏川に沿って散策の途中、犬の散歩をしている女性と道連れになりました。百名山を完登し、山野草に詳しい方で楽しくおしゃべりしながら歩きました。荒井集落の山の斜面、梅林の中に高尾天満宮と言う小さな神社があります。神社のわきから急斜面をよじ登るように細い道があり、そこを登ると高尾蛇滝コースの途中から延びる林道に出ました。地元の人しか歩かない道のようです。 そして、その林道に「ジャケツイバラが咲いて綺麗ですよ。5~6月ころ見にいらっしゃい。」と!
ジャケツイバラ写真
翌年行って見ました。満開を少し過ぎていたため林道は落花で黄色に染まっていました。3~4本はあったでしょうか。藤の花を立てたような姿で咲いていて綺麗でした。草戸山近くの大地沢青少年センターにもあると聞き、出かけました。複雑にからみついた枝が大きく広がり、たくさんの花房は豪華で感激しました。そして裏高尾から八王子城址へ続く道にも、たくさん咲いているとの情報が! 来年は見に行きましょう!(2013.6,関根:文)
【蛇結茨】
別名:カワラフジ。落葉つる性。花期:4~6月。分布:山形~沖縄、中国、朝鮮。
幹や枝の鋭く尖った刺で他の木にからみつき伸びるため、どくろを巻く蛇にたとえて名前がついた。花序は20~30㎝ 黄の花弁は5枚でⅠ枚だけ赤いスジがある。実は有毒。

花ごよみNo.15  スミレ(菫)

スミレ写真
「すみれ」というと日本人なら誰でも知っている花でしょう。「菫の花咲く頃初めて君を・・・」「山路来て何やらゆかしすみれ草(芭蕉)」「春の小川もサラサラ流る岸のすみれやレンゲの花も・・・」「春の野にすみれ摘みにと来し・・・」と身近に謳われてきた。地味な花であっても登山道で足許に見かけるスミレに春だなあという思いが湧いてくる。5枚の花弁のうち距(きょ)(ここに蜜があり種子を蟻が好む)を持つ真下を向いた唇弁の花の形が大工の使う「墨入れ」に似ているらしい。スミレ類は世界に400種以上、日本には変種も多く56種もあり愛好家の多い日本を「スミレ王国」と呼ぶ。スミレ属スミレ科スミレ目なのだが「スミレはスミレでも何スミレなの?」となるとエッ?ムッ?ウーン? 首を傾げる。立壷菫・壷菫・野路菫・丸葉菫・如意菫・匂菫・雛菫・小菫・葵菫・茜菫・・・・。私には全く区別できない。4月20日に御岳高岩山にスミレを見に行った。6種類くらいあり写真を撮ったが「何スミレ」なのかが分らない。
スミレ写真
◎ 葉っぱで見分けられるのがエイザンスミレ。比叡山で見つかったので「エイザン」が附いているが何処の野山でも見られる。葉が春菊の葉の様にギザギザに深く切れ込み鳥足状となる。似た葉を持つのにヒゴスミレやエゾスミレがある。日本の特産種。
◎ 単に「スミレ」というのは葉が細長くて里山や登山道入口の辺りで見かける。マンジュリカViola mandshuricaとも称す。塀の隙間や公園にも咲く。民間薬として腫れ止めに使う。
スミレ写真
◎ 芭蕉の句は「タチツボスミレ」を詠んだといわれる。淡紫の花を咲かせ、葉はハート型で葉柄の基部にギザギザの櫛の歯状托葉を持つ。
スミレ写真
◎ 高尾山固有種に「タカオスミレ」があり登山道入口の道端に咲く。葉が茶色っぽくハート状披針形をしている。高尾の杜には25種のスミレが咲くという。
スミレ写真
◎ オオバキスミレ(楕円形の葉の先端がとがる)やキバナノコマノツメ(丸葉が馬の蹄状)は花が黄色で葉の形状が異なるから簡単に分かるし高山でこれから夏に向け咲き出す。
スミレの同定は難しい。やはり野に置けスミレ草。名前はどうでもよいかスミレ草。春を告げる可憐な妖精を慈しんでよしとする。(2013.5,高橋:文)

花ごよみNo.14  ニリンソウ(二輪草)

ニリンソウ写真
山歩きをなさるたいがいの方は、ニリンソウと言ったらどんな花かはご存じではないだろうか。植物に鈍感なこの私でも何とかわかるが、その群落は見たことがなかった。
2年前だったか5月中旬に、上高地の徳沢園に一泊山行をしたときの折、ニリンソウの群落を見て大感激した記憶がある。それまでは、山へ行って景色は眺めても植物に関心を示さないのが私の実態でした。何度聞いても花の名前は覚えられず「ニリンソウ」と言ったら、あの川中みゆきの歌しか浮かばなかったのです。
ニリンソウ写真
河童橋は観光客でごった返し明神あたりで少なくなり、そこから先の徳沢園までは愕然と山屋さんだけの世界が広がっていました。
まばゆいばかりの新緑が、梓川の両岸に広がっています。明神入口を過ぎて、徳本峠への分岐を過ぎたあたりから徐々に可憐な白い花が森の両側に群落を見せます。ため息をつく美しさが広がっています。ニリンソウを見て、ため息をつくなんてことは初めてでした。
上高地の勉強もしないで、ルートや山名ばかりに気を取られていたこともあり、改めて自然の美しさを感じた瞬間でした。
上高地では、次から次へと沢山の花と植物が待っています。蝶も鳥も待っています。また可憐な花を咲かせてくれる季節がやってきました。5月中旬からが見ごろとのことです。(2013.3,和久井君:文)
ニリンソウ写真
【二輪草】
ニリンソウは山地や丘陵の林に自生するキンポウゲ科の多年草です。草丈15㎝位で、早春に白い花を付けます。茎の上に2個の花を付けるという意味で2輪草と名付けられていますが、実際には1輪のものも3輪のものもあります。春植物で、林床が暗くなる6月頃に地上部は枯れてしまいます。

花ごよみNo.13  カタクリ(片栗)

カタクリ写真
今は昔、さんかくてん入会の翌春、日光鳴虫山にヤシオツツジを見に行った。ツツジのトンネルの足元には、はからずもカタクリの花が咲き乱れ、上を向いても下を向いてもピンクの嬉しくも楽しい山行だった。
十数年前まだ元気一杯だった頃、5月連休に、残雪の大笠山、笈ヶ岳を縦走した。氷の城の様にそびえる白山の美しさはたとえ様がなかった。残雪の山を堪能して、一里野の里に降りたったら、一面のカタクリの花が出迎えてくれた。荷の重さを忘れ、春の喜びに心が躍った。
カタクリ写真
昨年4月8日、高川山一山では物足りないという仲間を誘って、大月まで歩いて行こうと計画した。全部で13ピークの最後のオムスビ山の斜面一杯にカタクリの花が満開でビックリした。訪れる人の殆どいな秘密の花園だった。
人間や、動物だけでなく、花も思いがけない出会いは、なんとも言えず嬉しく忘れがたい想い出になる。(2013.2,堤:文)
【片栗】
ユリ科カタクリ属に属する多年草。原産は東北アジア早春に薄紫から桃色の花を下向きに咲かせる。その後葉や茎が枯れ、地下で休眠状態になる。根茎は白色、多肉、澱粉を蓄え、片栗粉にする。

花ごよみNo.12  フクジュソウ(福寿草)

フクジュソウ写真
1月号に向けて花ごよみの原稿を依頼され、そこで御正月らしくこれからも見る事のできる花を、ということで福寿草になりました。
福寿草は山の花?それとも園芸種?
フクジュソウ写真
数年前までは葉牡丹ともに御正月の寄せ植え飾りになって売っていましたが今その座は色とりどりのシクラメンに代わってしましました。またどこの家の庭にもあったものですがガーデン用のシクラメン、ノースポール、プリムラ等で彩られているようです。すると山で見るしかないのかな?
フクジュソウ写真
2011年2月27日蓬生さんリーダーで「秩父・四阿屋山~早春の花 福寿草を訪ねて」でこの花の群落を見ました。その報告文には「下りは両神神社社奥からロウバイ園に立ち寄った。真っ青な空に見上げると木々には黄色いロウバイが満開、地面には黄色の福寿草(渡辺綺)」とありました。この地には「秩父紅」というここだけの赤い福寿草が咲いていました。四阿屋山コース難易度は体力度1、危険度3(山と渓谷社 埼玉県の山)長い鎖と綱が凍結。蓬生さん以外は女性5人、当たり前ですがだれも落ちませんでした。
花は小さくてかわいらしいけど花が終わった後、花から考えられないほどの緑の葉がぼうぼうと茂り根が大きく張ります。夏になると葉は枯れますが毎年忘れずに2月上旬に浦安では咲きます。雲巌寺にて撮影。(2013.1,深沢:文)
【福寿草】
キンポウゲ科の多年草。
別名ガンジュツソウ(元日草)。
1月1日の誕生花(深沢の誕生日) 毒草。
花ことば 永久の幸福、思い出、祝福。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です