花ごよみNo1~No11(2012年)

花ごよみNo.11  シモバシラ(霜柱)

シモバシラ写真
2011年1月10日  高尾山口→稲荷山→高尾山→大垂水峠→中沢峠→西山峠→三沢峠→草戸山→高尾山口
高尾山の一丁平のまき道は日当たりが悪く薄暗い。
シモバシラ写真
その両脇に3~4センチのシモバシラの花が所々に、そして中には群生してあった。そのうち山側のみとなるが咲き方が一様でなく見事な円錐状がきにいった。綿の花のように真っ白でふわふわのように見えた。
シモバシラ写真
触ると堅くしっかりしていた。大垂水の分岐を過ぎて谷側に10センチ近いシモバシラの群生に感激する。それをピークに所々のシモバシラとなる。捨てられた?ティッシュと見間違うこと多々あり。シモバシラを探しているせいかゴミが多いと感じた山行でもあった。(2012.12,末石:文)
シモバシラ写真
【霜柱】
シソ科の植物で、秋には白か薄紅色の小さな花をまるで鋸の歯のように多数つけます。冬に茎が枯れても根は地面の中で元気に生きていて、翌年また芽を出して成長し花を咲かせる多年草の植物です。関東から九州まで幅広く分布しており、山林の中や渓流の周辺で多く見かける事が出来ます。しかし、でもシモバシラの言葉の所以は冬にあります。シモバシラは初冬に大変身をするのです。 秋に咲いたこの花は、枯れた後の寒い日にもう一度美しい氷の花を咲かせるのです。
http://www.takaosan.info/topics66.htm より

花ごよみNo.10  レンゲショウマ(蓮華升麻)

レンゲショウマ写真
2012年8月26日にレンゲショウマ祭りの行われている御岳山にレンゲショウマを見に行く山行に参加した。花には疎い私だが、名前の響きがジャニーズ系を思わせるところが引かれた理由の一つだった。御岳山の群生地では、たくさん花が咲いているのに、なぜか静寂な雰囲気だったのに驚いた。
レンゲショウマ写真
何となく和歌とかが似合う感じで、『わび』、『さび』の分かる大人な花だ。花の大きさは4cmくらいで下向きに咲いているので写真を撮るのが難しかった。悲しいことに私が撮った写真は全てピンボケで使える写真が見当たらなかった。(なので、末石さんに写真をお借りした。ありがとうございます)
レンゲショウマ写真
写真にもあるように、花だけでなくつぼみも?蹴鞠のようで愛らしい。やっぱり、平安時代がよく似合う。あとで知ったが、御岳山のレンゲショウマは日本一で約三万平方メートルに約5万株が群生しているそうだ。独特の花の形と可憐さが人を惹きつけているようで、『新・花の百名山』にも紹介されている。花を知るのも、いいなあと思った日だった。(2012.11,芳賀:文)
【蓮華升麻】
日本特産の1属1種の花。キンポウゲ科、レンゲショウマ属の多年草。花が蓮に、葉がサラシナショウマに似ているのでレンゲショウマ(蓮華升麻)の名がつけられた。花びらに見えるのはがく。花言葉は、「伝統美」

花ごよみNo.9  海外の山の花たち

海外の山の花たち写真
2012年6月5日から16日間ブータントレッキングに参加した。彼の国はヒマラヤ山脈の東端に位置するのでブルーポピーに会えるのを楽しみに歩いた。
海外の山の花たち写真
ブータン(人口74万人、首都ティンプー)はブルーポピーが国花であり、「国民の幸せ実感度世界一」として知られ、昨年11月国王夫妻が来日し、新鮮な誠実そうな彼等は訪問する先々で好印象を与えた。
海外の山の花たち写真
高地の居住民には薬草採取(冬虫夏草など)も大きな収入源で、親が山奥に採取に入っているとき子供達には学校で集団寄宿生活が保障されていた。教育費は大学まで無料で国語のブンカ語も教えるが主に英語で授業を行っているのを見学した。
この国の外貨獲得の第一は水力発電による電力をインドに売電して得られているという。この仏教国家の舵取りは先行きどうなるのか興味がある。(2012.10,高橋:文)

花ごよみNo.8  コマクサ(駒草)

コマクサ写真
言わずと知れた高山植物の女王。他の花が咲かない(咲けない)砂礫の荒地に、強風にか細い身を震わせながら咲くいているさまは、女王と言うより、可憐な妖精のようです。
北海道から北アルプスまでコマクサに会う機会は以外と多い。病気回復を祝って家族登山をした岩手山の黒いザレ斜面を点々と彩って咲く、可愛い姿に感激しました。
暑さと荷の重さにバテバテでやっとたどり着いた餓鬼岳。その先の唐沢岳は、斜面全体がピンクに染まる大群生でした。
コマクサ写真
今年登った八ヶ岳の横岳には、多くの花株が保護され咲いていました。中に珍しく一株真っ白いコマクサがありました。ここが東京から一番近くで会える場所かもしれません。日帰りハイキングでは会う事が出来ない、と言う点もこの花の魅力を増しています。
最近読んだ、大雪山の花という本に、単独で咲くコマクサではあるが、稀にタカネスミレと隣会って咲いている事があると、写真付きで載っていました。アッそんな様子を私も写真に撮った事があると思い、探し出しました。一株一輪づつ仲良く咲いていました。八ヶ岳で撮ったものです。
(2012.9,堤:文)
コマクサ写真
【駒草】
ケシ目 ケマン草科 コマクサ属
北海道から中部地方の高山の砂礫帯に分布 和名コマクサは花の形が馬(駒)に似る事に由来

花ごよみNo.7  クロユリ(黒百合)

クロユリ写真
クロユリの名前は子供の時から知っていました。ヒット曲で流れていたのでメロディーをしっかり覚えています。
黒いゆり、なんて珍しい花だろうと思っていました。普通の百合が黒いとばかり思っていたので山で見かけた時にはその小ささに驚きました。そしてその数も1山に数個見かければラッキーと思える程でした。ところがそれをたくさん見かけたのです。
今年の8月初旬、白山の室堂で雪渓の近くに観察に行ったらその群生にびっくりです。その日の登山時は時々顔を出していたのですが食事前の案内で連れて行ってもらいました。ハクサンコザクラ、アオノツガザクラ、チングルマ、ミヤマキンポウゲがそれぞれ群生して花園となっていました。とにかく黒百合の群生は初めてだったので大感激でした。
(2012.8,末石:文)
クロユリ写真
【黒百合】
○生息地:日本中部以北、千島列島、ロシア連邦のサハリン州、カムチャツカ半島、ウスリー地方、北アメリカ北西部に分布。高山帯の草地に生える。最も有名な生息地は白山で、室堂周辺などに大量に群生しているのが見られる。
○特徴:花期は夏。花は褐紫色で直径3 cm程度、釣鐘の形をした花が下向きに咲く。

花ごよみNo.6  マツムシソウ(松虫草)

マツムシソウ写真
山に花が有るのは尾瀬の水芭蕉位しか知らず、山歩きをしても頂上を目指すのみで足元に花が咲いているなんて気にも留めませんでした。
1982年8月22日この頃長女が保育園を卒園した父母たちと恒例にしていた軽井沢レクの森キャンプ場でキャンプをした帰り八ヶ岳大河原峠でこの花に会いました。
水色で大型肉厚、存在感のある花は一面に咲いていたのです。(残念ながらその時の花の写真はありません。)
その名前を知ったのは「さんかくてん」に入ってからです。そのあとあちこちの山で会う事が出来ました。大河原峠で見たマツムシソウと異なりみな小振りで可憐な感じがします。
モンゴールに旅行した際もあの大草原に足の踏み場がないほどマツムシソウは咲いていて馬が踏みつけていました。先日ある花展で真っ赤なマツムシソウをみました。会報6月号には明神峠で
もう咲いていたと記載されています。あの大河原峠には今も咲いているのでしょうか。(2012.7,深沢:文)
【松虫草】
マツムシソウ科  マツムシソウ属
北海道から九州まで分布する多年草。草丈50~90㎝で美しい淡青紫色の花を咲かせ草原の初秋を飾る。

花ごよみNo.5  ザゼンソウ(座禅草)

ザゼンソウ写真
私が「ザゼンソウ」印象深く出会ったのは、利尻山へ登った2004年6月18日だった。東京都建設局の山仲間に誘われ、「利尻・礼文ツアー」に参加した時である。朝5時ごろ民宿の主人が車で3合目まで送ってくれた。利尻山は、日本海に浮かぶ独立峰なので、特に風が強く、登りは無我夢中で花を眺める余裕がなかった。
10時50分に山頂に着き、記念撮影をしたら少し余裕が出てきて、下りは登山道の両側をときどき眺められるようになった。八合目の長官山(1218m)付近までくだったとき、山側に一輪つつましく咲いていたザゼンソウに遭遇。思わずシャッターをきっていた。(2012.6,日比野:文)
【座禅草(別名ダルマソウ)】
サトイモ科、ザゼンソウ属
葉は印状心形で、楕円状の花序を包む。花は両性で、花被片は4個。果序は球形。果実は液果。世界に3種あり、北米と東アジアに分布する。(山渓ハンディ図鑑2より)

花ごよみNo.4  イカリソウ(碇草)

イカリソウ写真
花が船のいかりの形に似ているから「イカリソウ」。よくこのように説明されますが、この場合のいかりとは現在の二本鉤(かぎ)のものではなく、かつての和船で用いられた四本鉤のいかりです。
イカリソウの開花期は4~5月。平野部や低い山地の落葉樹林などに生育しています。草丈は最大40cmほどで、小さい葉をたくさん付けるように見えますが、これはじつは大きな「複葉」の一部分で、「小葉(しょうよう)」と呼ばれるものです。九州や四国には、葉の表面に毛があり、白花を咲かせるイカリソウの仲間が自生していますが、これはヤチマタイカリソウとして区別されています。
また本州の日本海側、朝鮮半島、中国にかけては、黄色い花を付けるキバナイカリソウが分布しています。
私の小さい頃は、里山がいっぱいありました。どの里山もきれいに手入れされ枯れ枝も落ちていません。木はほどよい光に包まれ木立の中はとてもきれいでした。
春は「ふきのとう」「すみれ」「カタクリ」と花を咲かせ、少したつと「ぜんまい」や「わらび」が顔を出します。子供の私たちは食料の「ふきのとう」「ぜんまい」や「わらび」を採って帰り母喜ばしたものです。そんな時、木漏れ日の枯れ草の中から「イカリソウ」の」黄色の花を見つけたときの喜びはひとしおでした。やわらかいクリーム色でいっぱい花をつけ枯葉をどかしながらしばらく眺めているのが小さいときの思い出です。
イカリソウ写真
山登りを始めてからこの花の紅紫の花を見てまたまた驚いてしまいました。「花弁」がはっきりととがっていて花は「ラン」のような型です。私の庭には今この花の2種類が4月10日頃より咲いています。姉が、私がこの花を好きなことを知って園芸店から購入してたくさん増やし、昨年やっとやっと私の家に引っ越してきました。秋は葉っぱが紫っぽい茶色に変わり庭のアクセントになります。いっぱい増やして眺めたい花です。(2012.5,川原林:文)
※花の写真は、http://aquiya.skr.jp/zukan/ikarisou.htmlより引用

花ごよみNo.3  イワウチワ(岩団扇)

イワウチワ写真
2007年5月19日細谷さんリーダーの山行(7人)でヨモギ尾根から雲取山に登り、翌日大ダワ分岐・芋の木ドッケを経て長沢背稜を歩いた。
この時長沢山の手前の標高1708mの岩稜「桂谷の頭」でイワウチワにお目にかかった。岩筋に咲き葉が団扇に似ているが無粋な命名である。
奥多摩では3月末から咲く。今年の寒さでは何時満開なのかしら。微妙な開花時期にあわせて山に入っても花に逢えなかったり悲喜こもごもである。櫛形山・光明山・鳴神山・高鈴山・御岳・小津権現山・坪山・宇奈月・谷川岳・鬼無里柄山峠などで見られる。
イワウチワ写真
*イワウメ科は世界に6属19種がある。イワウチワ属はアジアと北米の周北極地域に分布するが、他にイワカガミ属やイワウメ属がある
*早春の落葉樹林内の傾斜地や岩地に淡紅色の広釣鐘形の3センチの花を咲かせ、果実は卵円形で熟すと3つに裂けて多くの種を弾き出す
*根は細く地を這い茎丈10~15センチでその枝先に葉を束生し1茎に1花をつける
*学名のShortia uniflora のユニフロラは1花を意味する(ショティアは人名)
*両性花は合弁花冠で顎筒部分から5裂し5枚に見える花びらの先端は細かく裂ける
*雄蕊が5本突き出して見え その基部には鱗片状の仮雄蕊(かゆうずい)の塊がある
イワウチワ写真
*心型をした葉は革質で鋸歯を有し葉の先端がヘこんで扁平であり 茎と葉の基部(つなぎ目)の形状と産地で次のように区別できるが花の色と形状はほぼ同じである
◎近畿から北陸に咲く花は葉の基部が円形か楔形をしてトクワカソウとよぶ
◎関東では葉の基部がハート型(カンアオイやシクラメンと同じ心形)をしているイワウチワが咲く。白花もある。コイワウチワもあるようだ。
◎東北地方には葉が一回り大きなオオイワウチワが咲く
◎イワウチワは本州のみに産するが沖縄にはリュウキュウ(シマ)イワウチワがある
*群馬産のイワウチワ全草が民間薬として打撲傷や蛇咬傷に用いられた。 (2012.3,高橋:文)
※右の花の写真は、関東森林管理局より引用

花ごよみNo.2  ヒメシャラ(姫沙羅)かな?

ヒメシャラ写真
2012 年1月15日 本社ケ丸へ登りました。
ヒメシャラの花写真
清八峠まわりで下る雑木林の登山道に一本の『ヒメシャラ』の木?がありました。後ろの方で「この迷彩柄の木は何?」と言う末石さんの声が聞こえました。迷彩柄と言う表現はこの木にぴったり!さんかくてんHPの写真の下にはサハラ模様と書いてあり、木肌の感じを上手に表していると感心しました。成長するにつれ古いザラザラした樹皮は剥がれ落ちツルツルで赤褐色の木肌になります。剥がれる途中の斑の状態が迷彩柄、サハラ模様です。蔓性の植物を巻きつかせないためにツルツル状態になるそうです。『リョウブ』の木肌も迷彩柄です。6~7月花が咲くとハッキリしますが葉や花がついていないこの季節には見分けがつきません。けれどリョウブはヒメシャラより低木で根元から何本もまとまって生えていることが多いので、今回はとりあえず『ヒメシャラ』と言うことにします。
リョウブの花写真
私が初めてこの木に出逢ったのは15年ほど前伊豆半島の万二郎万三郎岳へ登った時です。
面白い柄の大きな木が次から次へとあらわれて驚きました。木にさわるとヒンヤリと冷たいのです。その日は暑い日でヒメシャラの木に頬をつけたり、撫ぜたり、汗をかいた身体に気持ち良く感じました。庭木に植えられている『夏ツバキ』も幹や花はヒメシャラにそっくりです。 (2012.2,関根:文)
※右の写真は、山と渓谷花図鑑より引用(ツバキ科ナツツバキ属 本州箱根以西~九州に分布)

花ごよみNo.1  カンアオイ(寒葵)

カンアオイ写真1
2012年1月4日の大野山鍋山行では登山道に入り30分ほど歩くとカンアオイに出逢うことが出来る。2007年(第二回鍋山行)に初めて参加して見つけたときからカンアオイがこの山行の楽しみになった。山腹を左から捲くようについているほぼ水平の登山道に在り、カンアオイの葉のハート型と斑紋で見つける。カンアオイは晩秋から冬にかけて落ち葉の下でひっそり咲きそのままの形で朽ちる。いじらしい花ではないか。辺りに目を凝らすと10株くらい目に入った。花には蝶ではなく蟻が寄ってきて種子を撒き散らす。この葉は日本固有種「春の女神ギフチョウ」の食草として有名だが、今回も葉に喰み痕はあったのでどこかに蛹が春の到来を待っているのだろう。蛹の期間が10ヶ月くらいあり、冬を越し3-4月に羽化するという。
カンアオイ写真2  目指す場所で特徴のある葉っぱを見つけると枯葉を取り除き、2cmほどの花をつけた株を探す。花の周囲の枯れた松葉や団栗の落ち葉をかきわけ被写体に適したように整える。昨年もこの花を撮ったのだが周囲に手を加えずに撮ったら、何しろ地味な花なので会報やHPに載せるほどの出来にはならなかった。今回はこの記事に載せる写真を撮るためいくつかの株を撮影する。「直ぐ追いつきますから、私の担当食材はジャガイモだから」と言った割には結局皆に追いつけず、去年は追いつけたのに年々歳々自分の体力が落ちたのを実感する。
デジカメを構え「花ウルトラ接写モード」で写真を撮り、来年も咲いてよねと株に枯草をそっとかけておく。盗掘もあるようだが各地でちょこっとでも見かけたいものだ。里山ハイクや丘陵地を歩くときに路傍に視線を向けてこの葉っぱを見つけてみたい。ギフチョウに逢えたら感激もの。
*ウマノスズクサ科で類縁にウスバサイシンがあり、園芸種にパンダカンアオイがある
*カンアオイは関東から紀伊半島にかけて分布し山地林床に生える常緑多年草
*4センチの花を付けるタイリンアオイは九州北部から山口県に分布
*根茎が地中を這い地に伏して殖え、心型をした葉が落葉の上に短く出る
*濃い緑の葉は雲紋状の斑が多様に入り、葉と濃紫色の葉柄は有毒で精油を含む
*両性花は花弁が退化し地表際に咲き、カルンクルをもつ種には脂肪を含み蟻が寄る
*花萼は下半分が癒着した筒状花で上部が3裂し、雄しべ12本と雌しべ6本を持つ
*暗紫色の花は腐肉臭を発し、キノコバエが花粉を運搬し他家受粉を成立させるらしい
*根は「土細辛」として鎮咳去痰に供される
*マルバアオイは春に花が咲く (2012.1,高橋:文)

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