花ごよみNo82~93(2019年)

花ごよみNo.93 鳥形花(オウム花)

2016年11月30日に登ったタイ国の標高3位のチェンマイ県チェンダオ山2225mの登山道で奇妙な形の赤い花を見掛けた。花と言うよりまるでピンクの鳥が舞っているかのようだ。帰国して「鳥形花」と呼ぶこの花がツリフネソウ科と知ってなるほどと思った。茎の葉腋から長い花茎を伸ばした先に釣鐘状の花が釣り下がる。この花弁の先は唇状で2裂して濃いピンク色を呈し、尾翼にも翼にも見える。こ反対側が鳥の頭に見える部分で、「距」と呼ばれ、細長く伸びた距の先端が巻きこまれて、まるで嘴のようだ。学名がPsittacina Hk.f. である。
日本の山地や里山でよく見かけるツリフネソウは葉腋から花茎を伸ばした先に釣鐘状の紫色の花を吊り下げる。花弁の先は唇状である。草丈は70cmほどになるが、葉が大きく花は草に埋もれ気味となり紫色が目立つものの地味な花といえよう。沢筋で見かけても私は意識して写真を撮った覚えがない。きっちり観察すると造形の妙といえる花で、造りがタイの鳥形花(オウム花)と酷似する。
キツリフネはツリフネソウの黄色バージョンで夏に湿った草地で良く見かけ、同じく釣鐘状の花を吊り下げる。
ハナツリフネはヒマラヤ地域原産で標高5000m辺りに夏咲くが、釣鐘状で、白っぽい唇状花弁の先はピンク色である。11月エベレスト街道カラパタール登山で咲き残った赤い花を見かけ「アッ!ツリフネソウね」と素っ気なく通り過ぎた。これが「ハナツリフネ」とは気づかなかった。 ホウセンカも同じ科&属と知る。(了)
(2019.12,高橋:文)

花ごよみNo.92 東北の花「ヒナザクラ」雛桜

東北の山にしか咲かないという「ひなざくら」、しかも雪が解けて間がない時に一斉に咲いてしまうと。そんな花だと知った上で、初めて会ったのは鳥海山でした。
6月末の 山小屋も開いていない時期、雪渓の 雪解け直後に可憐に咲いた「ひなざくら」に出会いすっかりファンになりました。
この時期は、華やかなハクサンイチゲやチングルマが鳥海湖に満開で素晴らしかったです 。また岩にしっかりと咲くイワウメやチョウカイフスマ、ヒナウスユキソウ等 貴重な花々にも出会いました。
頂上から降りて来て泊まった御浜小屋の夜、すごい嵐となりこの小屋も飛ばされるのではないかと思う程でした。そんな中、翌日の下山時にもしっかりと生き残り、変わらず可愛い花を咲かせていた「ひなざくら」でした。
その後も東北の山々に行く度に出会い、私にとって懐かしさを感じる花となりました。
(2019.11,矢沢:文)

花ごよみNo.91 高尾山の秋の花

春先から花を楽しませてくれる高尾山。春は毎年のように来るのですが、秋はさほど来ません。10月に入って、どんな花があるのかわからないまま来てみました。
黄色い花はアキノキリンソウ、山頂付近でよく見かけます。
白い花はノコンギク?リュウノウギク?どちらか教えてください。群になって咲いています。
赤い花はヒガンバナ、6号路の泥沿いに咲いていました。
薄い青い花はセキヤノアキチョウジ(関屋の秋丁子)、図鑑でみると、赤紫色に見えるのですが、写真のものは青い色をしています。
(2019.10,内藤:文)

花ごよみNo.90 白山沙参(ハクサンシャジン)

今年の夏、8月初めに月山・鳥海山で出会った可憐なお花です。
色とりどりのお花が咲き乱れるお花畑の中でひときわ群生して存在感いっぱい。目を引きました
【特徴】キキョウ科。
平地で秋に咲くツリガネニンジンの高山型
月山・鳥海山 秋田駒 焼岳など東北の山に量が多く、開花時期は7月~8月です
花言葉は、詩的な愛・誠実・優しい愛情?だそうな・・・
(2019.9,渡辺綺:文)

花ごよみNo.89 花の宝庫「入笠山」 1,955m

2019年6月22日~23日、入笠山へ花見に出かけた。富士見駅から富士見パノラマリゾートまで無料シャトルバスが出ている。

入笠山は花の宝庫、6月中旬ごろ見頃なのがレンゲツツジ、アヤメ、ベニバナイチヤクソウ、ゴゼンタチバナ、日本スズランやドイツスズランで、特にこの時期、主役は日本スズランの他、幻の花「釜無ホテイアツモリソウ」である。

釜無ホテイアツモリソウは野生での絶滅の危険性が極めて高い絶滅危惧類に属している。

入笠山は花の宝庫のほか「日本百名山」のうち22山も望める素晴らしい山なのである。訪れた時には中央アルプス・北アルプス・槍ヶ岳まで望む事ができた。
(2019.8,横山:文)

花ごよみNo.88 雲居小桜(クモイコザクラ)

奥秩父十文字小屋にて
2019年5月26日にシャクナゲの花を見に十文字小屋に行きました。お目当てのシャクナゲは1週間早く、まだ、蕾の状態でした。
貸切状態の小屋のお蔭で小屋番さんに、色々と話をしていただき、小屋の後ろの庭に入れてもらう事が出来ました。
歴代の小屋番さんが色々と植えた植物があり、名前が判らないものもあるそうです。その中にピンクの可憐な花をつけていたのが「クモイコザクラ」です。

クモイコザクラ(雲居小桜)滅危惧Ⅱ類秩父山地、南アルプス、八ヶ岳の亜高山帯~高山帯の岩壁に生える。コイワザクラの変種でよく似ているが、本種の方が葉の切れ込みが深く、裂片が尖ることが相違点とされている。

「葉」と言えば、当会の元会長の井上さんが「植物を撮る時は、花だけでなくて葉も必ず撮るのよ」と言ってた事を思い出しました。
十文字小屋と言えばシャクナゲですが、私にとってはクモイコザクラかも知れません。

(2019.7,福井:文)

花ごよみNo.87 利尻雛罌粟(リシリヒナゲシ)

2018年6月末、礼文島の花が一番良い時に利尻山のツアーに参加しました。
登山口でガイドさんから『今日はリシリヒナゲシに会えるかもしれません。』と告げられました。天気に恵まれた9合目からしばらく行くと、その花は見逃して仕舞いそうなほど小さく、火山崩壊礫の斜面に姿を見せてくれました。

山頂から戻った時には、薄くわずかに緑がかった黄色のはなびらを開いてくれました。『世界でこの山にしか咲かない利尻山の固有種です。』利尻山の山頂は、崩れてなくなってしまうのではないかと、心配するほど崩壊が進んでいました。リシリヒナゲシも、40年以上前には、礫地が黄色く見えたほど群生していたのに、今では絶滅危惧種1B類に指定されとても心配です。

ガイドさんが昨年夏に、NHKの『にっぽん 百名山 利尻山』に出演しました。ビデオを繰り返し見て、リシリヒナゲシを楽しんでいます。

(2019.6,今岡:文)

花ごよみNo.86 岩八手(イワヤツデ)

私の山歩きは、お休み状態となりました。陽気がいいので向島百花苑にぶらーと出かけてみました。
30年前に日帰り旅行先だったことが思い出されました。春夏秋冬花が咲き樹木も楽しめます。飽きずにぐるぐる見て回りました。名前札も丁寧に立ててあり私にはありがたい植物園にでした。
◆中国北部から朝鮮半島原産の多年草。名前の由来は、渓谷の岩場の湿った場所に自生し、葉の形が八ツ手に似ることから。草姿を丹頂鶴に見立ててタンチョウソウ(丹頂草)の別名がある。3-5月に花茎の先に集散花序をだし、白色の5弁花を多数つける。葉には長い柄があり、葉身はヤツデの葉のように掌状に深く裂ける。観賞用に栽培される。

英 名 Mukdenia
別 名 タンチョウソウ(丹頂草)
原産地/原生地 中国北部、朝鮮半島
花 期 3月-5月
草 丈 20-40cm
環 境 山地/岩場
種 別 栽培
花言葉 愛嬌

(2019.5,和久井君:文)

花ごよみNo.85 片栗と駒草(カタクリとコマクサ)

多くの人に、山で植物の名前をいろいろと教わったのですが、出来の悪い私はすぐ忘れてしまいます。そんな私でも忘れられない花が・・・

奥多摩 御前山のカタクリと、北アルプス 燕岳のコマクサです。

◆カタクリは、春に先がけて一斉に紫の花を咲かせ、他の草木が勢いよく生い茂る初夏には早々と地上部を枯らして休眠に入ってしまうことから、「春の妖精」と呼ばれます。紫色の花と花姿が忘れられません。
うつむいて咲く花姿から花言葉は、「初恋」「さびしさに耐える」片栗粉は、もともとこの植物の球根から抽出したデンプンの粉。でも現在では、ほとんどがジャガイモやサツマイモから抽出されています。

2018.4.22 安達さんが奥多摩・御前山で撮影したカタクリの花です。

◆コマクサは、他の植物が生育出来ない厳しい環境で、砂礫地に長く根を伸ばし生育する事から「高山植物の女王」と呼ばれます。単独の大群生は圧巻で、まさしく女王の名にふさわしく感動します。
花言葉は、「高嶺の花」「誇り」「気高い心」「貴重品」

2005.7.17 14年近く前に私が北アルプス唐沢岳で出会ったコマクサの花です。

◆自分の誕生日 9月13日の誕生花は、「ゼフイランサス」・「ブッドレア」
ゼフイランサスの花言葉 「汚れなき愛」「便りがある」「期待」
ブッドレアの花言葉   「春の予感」「あなたを慕う」
花の名前を聞いても姿も浮かびませんし、名前も覚えられませんが・・・
自分にとてもふさわしい花言葉です。???
皆さんも、自分の誕生花を調べてみませんか
(2019.4,山田:文)

花ごよみNo.84 銀竜草と岩梅(ギンリョウソウとイワウメ)


名 前  ギンリョウソウ
和 名  銀竜草
科目名  イチヤクソウ
属 名  ギンリョウソウ
分 布  北海道・本州・四国・九州
生育地  山地の林内
分 類  腐生植物
花 期  6月中旬~7月中旬

山地の林間に生える腐生植物。茎は直立した円柱状で、葉はすべて鱗片になり、10~20個互生します。茎の頂部に筒状鐘形の花を1個だけ下向きに付けます。葉緑素がなく腐敗したものから栄養分を取ることで生活する植物です。
何年前に鳳凰三山でみつけたと思いますが、初めて写真を撮って記録をしたのは2018年夏ごろの御岳山でした。写真はインターネットの転載です。

名 前  イワウメ
和 名  岩梅
科目名 イワウメ
属 名  イワウメ
分 布  北海道・本州(中北部)
生育地 高山の岩礫地
分 類  常緑低木
花 期  6月下旬〜7月

高山帯の岩場に生える常緑小低木。枝は地上を這い、厚い光沢のある卵形の葉が絨毯を敷きつめたように付きます。枝先に梅に似た花を上向きに咲かせます。花冠の先は5裂し、雄しべが5本あります。花のないときには目立たない植物です。葉は小さな卵形で革質で光沢がある。白い花は鐘型、花弁の先は5裂し梅の花に似ている。夏山縦走が好きの私は中央アルプスの山で見たことがあります、山名は覚えださないですが、今年の夏も岩梅と出会ってほしいです。

(2019.3,清水:文)

花ごよみNo.83 曙草(アケボノソウ・リンドウ科センブリ属)

「アケボノソウ」の由来は花びら先端の斑点を夜明けの星空に見立てたことに拠る。最初に見たのは30年前の鹿沢休暇村のゲレンデ草地で、かの紫斑点はいかなる進化の過程で創造されたのかと思ったものだ。5裂した花びらに描かれた丸い緑色文様は蜜腺で昆虫を引き寄せる。雄蕊の紫色の葯は虫に取られて無くなる。秋に山地に咲く2年草で茎の断面はシソ科と似て四角い。

「センブリ」は秋口に咲く2年草で、千回煎じ(振り出し)ても苦みが残るということからの命名だ。苦味健胃薬として昔から重用される。蜜腺は雌しべの脇にある。花びらは普通5枚で紫色の縦筋がある。
「ムラサキセンブリ」 は生石山でススキが豪快に揺れる野原で見た。

2008年7/30、杓子岳から白馬鎗ケ岳に向かう斜面の足元に1株だけひそやかに咲く茶紫色の地味な花を見掛けた。「何だろう」。天狗山荘の食堂に掲げられた写真で「ミヤマアケボノソウ」と知り感激した。網膜に焼きつけておけばと思っていたから写真を撮っていない。いずれも絶滅危惧種の範疇にある植物です。八方尾根には固有種の紫を帯びたハッポウタカネセンブリがあるという。見かけた方は教えてください。

(2019.2,高橋:文)

花ごよみNo.82 北海道のお花畑

「山の花」の記憶というと、なんといっても、北海道の山の圧倒的なお花畑の広がりが思い浮かぶ。北海道の山のお花畑は、本当に「ハンパじゃない」。写真は、2016年7月末に大田ハイキングクラブで行った北海道・トムラウシ山のお花畑だ。
この年の北海道は異常に天気が悪くて雨続き。私が行ったときも連日の雨と霧で、ほとんど山は姿も見えず、靴は濁流となった登山道のなかでグショ濡れだった。

でも、足元を見ると、花・花・花のオンパレード。なにしろ、北アルプスなどとはまったくスケールがちがう。それこそ一面のお花畑だ。コマクサも、最初に出てきた時は「あ! コマクサだ」と喜んでいたが、あっちにもこっちにも、いたるところに咲いていた。
う~ん、やっぱり北海道だな~。雨と霧の中を3日間歩き続け、本来ならさんざんの山行だったはずだが、このお花畑のおかげで、思い出深い山行となった。


見渡すかぎりのチングルマ


コエゾツガザクラ?もみずみずしい


これでもかこれでもかと咲くコマクサ

(2019.1,石川:文)

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